北海道大学大学院情報科学院/工学部 光エレクトロニクス研究室

北海道大学 光エレクトロニクス研究室

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研究概要

あらまし

 光エレクトロニクス研究室は富田章久教授,岡本淳准教授,小川和久助教以下,博士課程5名,修士課程10名,卒論生4名で研究を進めています.研究テーマは大きく分けて,量子光学・量子情報と非線形光学・光情報処理ですが,量子光デバイスから光メモリ,光通信システム,光情報処理システムにいたる幅広い光エレクトロニクスの分野をカバーしています.
 研究室の目標は光技術におけるブレークスルーを作り出すことであり,それによるイノベーションの実現を目指しています.つまり地道な改良では達成できない,社会を大きく変えることのできる技術の創出を求めて地道(?)に研究にいそしんでいます.

量子暗号

量子暗号,特に 量子暗号鍵配付は最も実用に近い量子情報技術と考えられています.量子暗号鍵配付を使うと,盗聴されていないことが保証された鍵の共有ができるため,セキュリティ要求の高い領域へ適用が期待されています.
私たちは量子暗号鍵配付の実用化に向けて,安全性の定量的な保証,量子鍵を用いた情報セキュリティ技術,量子ネットワーク技術の研究を進めています.
(写真はNECが開発した量子暗号用の量子通信基板)

量子情報プロトコルの実装と量子情報システムの構成

従来の情報処理技術では不可能なタスクを実現する量子情報プロトコルが提案されています.私たちは光子を用いた量子回路を構成してプロトコルの実証を行っています.
これまでに,量子フーリエ変換や量子リーダー選挙などの興味深いプロトコルの実証に成功しています.さらに高度な量子情報プロトコルの実装を行うための研究として,デバイスの不完全性がありますが,演算結果に影響を与えないよう,上手に活用していく手法も研究しています.
(図は光通信用デバイスで構成した量子フーリエ変換回路)

量子光デバイス

量子情報の実験的研究の土台となるのが量子デバイスの開発です.光通信用に開発された高性能な光デバイスを利用した光子検出器や量子ゲート,古典的には実現できない"もつれあった光子”発生の研究を行っています.さらに,高度な機能を得るため,光子と電子が結合したデバイスを目指した研究も行っていきます.
(図はもつれ合った光子対発生実験)

3次元光配線

最近、IntelのLight Peakをはじめとする光配線技術や低消費電力インターコネクション技術などの開発が活発化しています.私たちは海外との共同研究による高感度な非線形光学素子(Sn2P2S2結晶)を開発し,素子や光路を精密に調整することなく、光そのものが最適導波路を自己形成する3次元光配線の研究を進めています.接続や調整の難しい光ファイバやフォトニック結晶導波路間の結合・配線が容易に実現できることが期待されます.
(図は自己形成導波路の実験構成)

ダイナミック・リコンフィギュラブルな光素子

フォトリフラクティブ素子を用いて光素子の機能や配線を状況に応じて自律的に再構成することにより,最近注目されているモード多重光通信での合分波やダイナミックな光分岐など光情報処理や光通信の高度化を実現することを目指しています.
(図はダイナミック・リコンフィギュラブルな光フィルタ素子)

衛星間光通信

非線形光学素子による位相共役を利用することにより,光軸の変化に対して自律的に導波路を再構成し,不要な光成分を取り除くことができます.このような機能は衛星間光通信の進展に役立つものと期待されています.

ホログラフィックメモリ

Blu-rayに代わる高密度光記録技術として3次元記録が可能なホログラフィックメモリが注目されています.私たちはホログラフィックメモリを高密度化する技術の開発を進め,既に特許を何件も出願しています.ペタバイト(10の15乗バイト)の記憶容量を持つ光ディスクの実現を目指して,新たな多重記録技術の提案,新たな多値情報変調技術の開発,デジタルコヒーレント技術との融合,光メモリ技術による省電力化の推進を行っています.
(図は提案しているホログラフィックメモリシステム)